← posts

なぜ自作キーボードに沼るのか

keyboard の世界に足を踏み入れて二年、すっかり沼にはまった。 なぜこんなにも抜け出せないのか、その構造を自分なりに分解してみたい。

沼は「最適解がない」から深い

自作キーボード に正解はない。 指の長さも、打鍵の癖も、求める静かさも人によって違う。 だから「これが最適」というゴールが原理的に存在しない。

ゴールがないということは、改善の余地が永遠に残るということだ。 最適解のない問題は、いつまでも遊べる。 この「終わらなさ」こそが沼の本体だと思う。

変数が多すぎる

自作キーボードを構成する変数を数えてみると、その多さに気が遠くなる。

  • キースイッチ(リニア、タクタイル、クリッキー、押下圧)
  • キーキャップ(素材、プロファイル、刻印)
  • 基板とケース(素材、マウント方式)
  • ファームウェア(レイヤー、コンボ、タップホールド)

どれか一つを変えるたびに打鍵感が変わり、ほかの変数との相性が顔を出す。 組み合わせ爆発が、そのまま探索の楽しさになっている。

自分の手で「決める」快感

既製品を買うのは「選ぶ」行為だ。 自作は「決める」行為になる。

スイッチを一つ選ぶたび、レイヤーを一段組むたび、自分の指の事情に合わせて世界を作り変えている感覚がある。 この、設計を他人に委ねない感覚が、エンジニアの性分にやけに馴染む。

ファームウェアという無限の余白

ハードが落ち着いても、まだ沼は続く。 ファームウェアの世界が残っているからだ。

タップで文字、ホールドで修飾キー。 親指に三つ四つの役割を割り当て、レイヤーを重ねていく。 ここまで来ると、もはやキーボードを作っているのか、自分専用の入力言語を設計しているのか分からなくなる。

抜け出せないのではなく、たぶん抜け出す理由がないのだ。

#keyboard #沼

— fin. 2026-06-26
2-HOP LINKSこの記事と語をともにする記事
見出し = この記事が張ったリンク/その下 = 同じ語にリンクする別の記事